A:レビー小体型認知症では、膀胱を支配する自律神経にもレビー小体と呼ばれるたんぱく質が蓄積することにより、排尿に関する症状が高頻度で出現することが知られています。報告にもよりますが、90%を超える患者さんが尿失禁や頻尿など泌尿器系の症状を抱えておられると言われ、患者さん自身や周囲の方のQOL(生活の質)に少なからず影響を与えます。このため、排尿に関する症状は自律神経症状の一つとして重要な治療の対象となります。頻尿や夜間尿は一般に「蓄尿障害」に分類されますが、膀胱に尿を蓄えるための筋肉をつかさどる自律神経の不具合により症状が出現します。したがって、まずは骨盤底筋体操(筋肉を鍛える)、膀胱訓練などが日常行える治療の土台となります。ただ、ご質問のケースではかなり症状が強いと思われますので、これのみでは不十分で、薬物治療が必要な可能性が高いのではないかと考えます。蓄尿障害に有効な薬物にはさまざまな種類があり、効果や必要な量にも個人差がありますので、一度主治医にご相談されることをお勧めします(内科で処方されるケースと、泌尿器科に紹介になるケースがあると思います)。