京都府立医科大学大学院 医学研究科 精神機能病態学 教授 協力医:成本 迅先生・・・2024.5.3

 

皆さんは、新しく家電製品を購入したり、行ったことのない土地でレストランを探したりするときにはどのように情報を集めますか?

私はインターネットで検索して口コミを頼りにすることが多いです。

ただ、医療に関しては、インターネットでなかなか信頼できる口コミに出会うことが難しいのが現状です。

レビー小体型認知症は、調子が一日の中でも変動したり、転びやすさや身体の動かしにくさなどの身体の症状と、幻視などの精神的な症状の両方を抱える人もいたりして、脳神経内科と精神科の両方を受診しないといけない場合もあり、長い病気との付き合いの中で信頼でき付き合いやすい医師と出会いたくなる気持ちはよく分かります。自分に合う医療機関を探していくつもの病院に受診した経験がある方にも出会います。

DLBサポートネットワークでは、先にレビー小体型認知症を発症してさまざまな経験をしたご本人の方や、家族の方が参加しておられ、実際に体験したことを聞くことができます。これは、新しくこれから病気との付き合いを始めなければならなくなった人にとってとても役立つ口コミになることでしょう。

またこれまでレビー小体型認知症の人の支援経験がない専門職にも、当事者の方たちがどんな経験をされているのかを聞くことはとても参考になります。

今年の1月から「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行されましたが、そこでは本人発信の場を作っていくことも盛り込まれています。

その背景には、当事者同士の出会いが病気と付き合っていく上で力になることと、当事者の視点からの経験が支援体制作りに欠かせないことが理由となっています。DLBサポートネットワークが、レビー小体型認知症の人にとっての発信の場であり、病気と付き合う上での力を得る場になることを願っています。


京都鞍馬口医療センター 院長 顧問医:水野敏樹先生・・・2024.4.1

 

■DLB患者さんが見る幻視?幻覚?夢?■

 

DLBの患者さんが訴える幻視・幻覚症状は様々であり、時には夢ではないかと思うことも多いです。

代表的な幻視症状として子供が遊んでいる、知らない人が立っている、亡くなったはずの母がいるなどは患者さんに危害を加えるものではないのでまだ無害と言えるかもしれません。「お茶を差し上げないと」お客さん扱いする患者さんも比較的多く、知らない困った人が入ってきたという認識もないのはどういう判断なのだろうと介護者が思ってしまうことはありますが、それでもまだ対応には困らない範疇だと思います。

私が診察時に必ず患者さんに聞くようにしていることとして、その知らない人は困ったことをされますか? 怖い人ですか?という質問をすることにしています。その理由は先日逝去された小阪先生が講演で示された夜トイレにいくとお化けがいるという幻覚の話が印象的だったからです。

患者さんが書かれたおどろおどろしい絵を見せられると、患者さんが夜トイレへ行きたくないのも当然だと思います。

介護者の方が“どうしてトイレの前で汚すの”と思うのも当たり前ですが、患者さんの立場からすれば扉を開けた途端に怖いお化けが見えたら、失禁してしまうのもしかりです。しかし患者さんからは失禁した理由を聞き出すことは簡単ではありません。誰でもその言い訳には困るからです。

できれば患者さんも黙って自分で処理したいところだと思いますが、それもできなくなってしまうと、翌朝家族から責められることになります。

そうなってしまうと患者さんが自ら口を開くチャンスはなくなってしまうのでしょう。

 

先日ある入院された患者さんから以下のような話を聞きました。

『かなか寝付けず睡眠薬で眠ったあと、ふと気づくと私は病院を抜け出して、知り合いのマンション経営の男性の空き部屋に逃げ出していました。この辺りから記憶はあいまいになります。しばらくして私は、太い綱でがんじがらめに足腰を縛られているのに気づきました。助けを呼ぶと、感じの良い目のきれいな女性が現れ<病院の者だ>と名乗りを上げ、私はほっとした安心感を得ました。また少しして、マンション経営の男性とこの女性との間で怒鳴り合いが起き、私は女性が私を助けてくれるものと期待しました。しかしその後2人の姿は消え、綱で縛られたまま私は殺されるものと覚悟し、「なぜ私が殺されなければならないのか?<私はどんな罪を犯したのか>等々と恐怖に捕らわれたままでいました。しばらくして突然私が置かれている部屋に家具に見覚えがあるのに気づきました。<病院に戻されたのだ、命を助けられたのだ>ことがわかりほっとしたとたん、先ほどの女性が眼前に現れ思わず、「助けていただいてどうもありがとうございます>と言ったのを覚えています。もう朝方のようでした。しかし綱はそのままでした。そのあと私は眠り込んだので記憶は何もなく、知らない間に綱ははずされていました。』

 

この患者さんお話は夢なのか、幻覚なのかは微妙ですが、患者さんが入院後一時的に拘束されたのは間違いないでしょう。

患者さんの立場から考えると拘束されることによりこのような気持ちにさせることを私達医療者も十分理解しなければと思います。

そして患者さんが暴れるなど困った症状の背景に幻視・幻覚があることも忘れてはいけないと思います。 

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